意識転送
「背も低いし身体も小さい、どこをどう取っても闘いには不利だ」
ズバリと眼鏡が光って
僕の柔らか〜い心に突き刺さった。
「うわ〜〜ん!!」
目から鼻水なんて出てないもん!!
ジローに抱きついて浩一を睨む。
ジローも、相変わらず無言のままだけど、
よしよししてくれた。
あれ、余計泣きたくなるのは何故?


「ましてや、運動神経だって健全な男子とは思えない程、ない。
だから銃を持って、身を守るのが賢明だろうな」
「ふん!浩一のバカ!」
本当に、一言一言失礼な奴め!
お前なんか、一生友達できないんだから。

でも。
思いやりの“お”の字も無い言葉でもちゃんと、
僕の身の守り方を考えてくれてるんだ。


それにすんなり気づけちゃう僕って、
浩一の優しさを解っちゃう僕って、素敵だ。


「で、僕は消去法で、健二の槍をもらう」
そう言って僕の手から槍を奪って行く。
「消去法って!そんなんでいいの?」
「うむ…」
僕とジローには向いてる武器を指示して
自分だけ消去法で余って物なんて。
食いつく僕に続いて、大人しいジローも同意して声を出す。
「いいんだよ。僕はコレで。」
「でもさ〜」
「品行方正な僕には、剣も銃も野蛮すぎて向いてないもの」

眉根を寄せて、
諦めたような、怒ったような顔して首を横に振る。

それでも、こんな低い天井でも難なく
持った長い槍を華麗に回して見せる浩一に心から拍手。



僕、こいつが居ればモンスターだって恐くない気がするよ。。。


主役、僕なのに…。


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