ねえ、理解不能【完】
好きはライク







「は?」




夏になる前のじめじめした空気の中、
不機嫌そうに眉をひそめる、やつ。





私は、ぱちっと顔の前で手を合わせる。



幼なじみである千草が、ぎゅっと目をつぶってお願いする私のこのポーズに弱いことは知っている。
いつもはすましているくせに、本当は情に厚いほうなのだ。




だけど、期待はずれ。

数秒たって恐る恐る目を開いたけれど、
千草はまだ眉を顰めたままで。




.......なーんだ、効果なしか。
つれないし、全然面白くない。



心の中で舌打ちをしたけれど、千草の機嫌をこれ以上損ねるわけにはいかないので、にっこりと笑顔を顔にはりつける。




「可愛い子なんだよー?千草、絶対タイプだから」



千草の腕をとって説得する。

ぶんぶんと上下に振ったら絶対に千草はウザがるだろうから、優しく手を取って丁寧な手つきで振ってみたのに、すぐに振りほどかれた。





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