ねえ、理解不能【完】
それから後は、ぼんやりした気持ちで歩いてしまった。
気づかれないようにしようって気を張ることも忘れていたし、千草と広野みゆちゃんの様子も考えることができなくて。
それよりも、理解できない自分の感情に放心してしまったの。
きっと途中で、広野みゆちゃんも私の存在に気がついたと思う。
私を見つけて、千草に「こわーい、青ちゃんってストーカーなの?」とか言ってるかも。それに、千草はちっとも興味なさげに「かもね」とか答えてそう。
.......なんて、ね。これはただの被害妄想だ。
この期に及んで自分の醜さに嫌気がさす。
ぼんやりしていたとはいえ、千草の家の前を通過しようと思ったら、そこに2人が立っていたから、その時はさすがに気まずくてポケットからスマホをだして妃紗ちゃんと電話してるふりをした。
通話口でプープーって機械音がしてるのに、あたかも妃沙ちゃんと会話しているかのようにするお芝居。
最高にいたいことやってたけれど、気まずい思いをすることは回避できたから全然いいの。
そして、気づいちゃった。
私、電話するふりの才能がある。絶対バレてなかったもん。
......何にも嬉しくはないけれど。