ねえ、理解不能【完】
だけど、すぐに目を開けることになる。
「本当になんなの、」
気分は憂鬱一色で、意味不明な怒りすら生まれる。
ベッドから飛び降りて、部屋のカーテンの隙間から外を覗く。
やっぱり。
嫌な予感は的中だ。
私の部屋の窓からは、千草の家の玄関が見える。
目を瞑ったら視界が真っ暗なぶん、耳がいつもより冴えてしまって。
お母さんが台所で野菜を切る音にまじって、窓の外から女の子の可愛い声が聞こえてきたの。
こっそりと窓の外を覗くことは続行したまま、息をこらす。知らぬ間に心臓は、どくんどくんってうるさくなってしまっていた。
これは、本当にストーカーに値する行為だから。
広野みゆちゃんも、カーテンの隙間から私と目が合ったら、さすがに驚いてしまうだろう。
千草と広野みゆちゃんは、やつの玄関の塀にもたれかかってお話していた。