ねえ、理解不能【完】
きみ以外との帰り道
◇
その後の2週間、千草とは一切話さなかった。
朝も時間をずらして絶対に会わないようにした。おかげで早起きが少し得意になった。
廊下で広野みゆちゃんと二人で話していたり、一緒に帰ったりしているところは見かけた。
だけど、絶対に目は合わせなかったし、精一杯気にしてないふりなんかして。
相変わらず、広野みゆちゃんが千草のことを家まで送ってるみたい。本当にやつは格好悪い。
千草のせいで、私の放課後は本当に暇になっちゃって、部活に入ってやろうかな、なんてヤケクソなことを考える始末だ。
2週間は頭で考えるよりも実際は長くて。
だけど、本当のことをいうと、千草が隣にいない日々に慣れるには、全然足りないの。
面白いことがあると千草に話したいって思う。
悲しいことがあると千草に聞いてもらいたいって思う。
思いたくないのに思っちゃう。
前みたいに戻りたい、
そんなことをこの2週間のうちに何度思ったことか。
気分はずっと雨模様だ。
ありがたいことに妃紗ちゃんといるときは、少しだけ気が紛れるけれど。
たかが幼なじみと絶交しただけで、いつまでも泣きついてはいられないから、頑張って元気に振舞ってる。
それからなぜか最近、川瀬くんが私によく話し掛けてくれるようになった。
共通の趣味があることが判明したからだと思う。でも、「ずっと前からちゃんと話してみたかったよ」って言ってくれたから、少し嬉しかった。
残念ながら、オススメの漫画はもう貸せないんだけど。
そのことを伝えたら、全然いいよって爽やかに笑ってくれたから、やっぱり川瀬くんは素敵な男の子だ。