ねえ、理解不能【完】
だけど、二人の存在があっても、私は今日も今日とて、憂鬱だ。
誰かに話しかけられたら全然普通に笑って会話できるから、重症ではないはずなんだけど。
朝、学校に行って妃沙ちゃんの隣の席に座る。
川瀬くんが、別に俺が来るまでなら座ってもいいよって少し前に言ってくれた。川瀬くんが学校にきてからは、自分のところから椅子をもってきて三人でおしゃべりするのも朝の日課になりつつある。
「妃沙ちゃん、今日の弱音を発表します。.......ストレスで禿げそうです」
いつまでも泣きついてはいられないっていっても、一日一回くらいはゆるされると思って、妃沙ちゃんに弱音を吐く。
妃沙ちゃんは毎日嫌な顔ひとつせず聞いてくれるの。本当に大好きだ。
「禿げたら旭くんに話す口実ができるね」
「えー、もう禿げちゃおうかな」
「ふふ。旭くんに、千草のせいで禿げたから責任とって仲直りしてって言うの?」
私と妃沙ちゃんは顔を見合わせてくすくす笑う。
妃沙ちゃんは、優しいね。
私が少しでも元気がでるように、いつもなら言わないようなことも言ってくれるの。
ありがたいけど、やっぱりごめんねとも思う。
それから、こうなったのは全部千草のせいだって責める気持ちも大きくなってしまう。