ねえ、理解不能【完】
嬉しい気持ちに包まれていたら、なんだか不躾な視線を感じて、川瀬くんの隣の席___妃沙ちゃんを見る。
妃沙ちゃんは、悪戯っ子みたく笑いながら私を見ていた。
「ひ、ひさちゃん、何?」
「ううん、なんでもないの。でも、何か変わるかもしれないなって思って」
川瀬君に相談することで何か変わるかもしれないってことかな。
妃沙ちゃんもこの状況に希望をもってくれているみたいだ。
「そうだといいけどなあ」
川瀬君が妃沙ちゃんの隣で「俺に任せて」と親指を立ててグーサインを私に送ってきた。
私も大きく頷いて、グーサインを返す。
「君に任せて悪化するか、新しい気持ちになるか、良くなるか、果たしてどうなるんでしょうね」
妃沙ちゃんが探偵みたいな言い方でそんなことを言ったと思ったら、川瀬くんは、「うるさいね」
なんて珍しく雑な口調で返事をしていた。
私は二人にはついていけずに、曖昧に笑っておいたけど。
それにしても、さっき妃沙ちゃんが悪戯っ子みたいに笑った意味がわからない。
私と千草との関係が改善するかもしれないから喜んでくれたのかな。
うん、きっとそうだ、理由はそれにしておくことにした。