ねえ、理解不能【完】
放課後。
ホームルームが終わってそわそわしてしまったけれど、友達の帰ろうっていう誘いを断って、川瀬君は教室に残ってくれたから安心した。
帰りのチャイムがなって数十分すれば教室には人がいなくなる。
「かわゆ、帰らないの?」
「うん、ちょっと寝てから帰るよ」
クラスの可愛い女の子の質問も爽やかに交わして、私との約束を守ろうとしてくれるのは少し優越感。
日直の子が日誌を書き終わって教室をでていったのを見届けて、川瀬くんは席をたって私の方に近づいてきた。
なんだか二人だけの秘密みたいでムズムズする。
私の前に来たかと思ったら、いすを反対向きにまたいで座った。
そうすることで、私のほうにむくことになる。
「白崎、話して?」
私の机に肘をついて、顔を覗き込まれた。
男の子なのに上目遣いが上手なの、羨ましいよなんて思いながら、こくりとゆっくり頷く。
準備万全とでも言いたげな川瀬くんの体勢に、私は恐る恐る話しはじめた。