ねえ、理解不能【完】
「私ね、幼なじみが一人いるんだけど、最近喧嘩しちゃって。なんだかうまく仲直りできなくて....」
「うん、」
「川瀬くんも知ってるかな? D組の旭 千草っていう男なんだけど」
「知ってるよ。あの人かっこいいしモテるよね」
「知ってるんだ.......」
「結構遊んでるイメージあるけど。俺の知り合いにも、旭と付き合ってた子いるよ。.......結構、すぐ手出すって聞いたけど」
「そう、なんだ。無口で無愛想なくせに、みんなだまされちゃって.......」
「まーでも、顔がいいからね」
.......やっぱり同性の川瀬くんから見ても、千草ってかっこいいんだね。
私の知らないとこでもすごくモテているの、再確認させられちゃった。それに、すぐ手出すって、それは全然知りたくなかった情報だ。最低最悪な千草の恋愛事情。隠していたわけではないだろうけど、今初めて知ったよ。
本当に、私はもう置いていかれたのかもしれない。
「白崎、大丈夫?」
いけない。思いがけない千草の話を聞いて自分でもわかるほどに顔を曇らせてしまった。
川瀬くんが、心配そうな顔でわたしを見てる。
大丈夫だよ、全然気にしてない、気にする理由なんてない、そんな気持ちたちを全部こめて何度も頷いて、再び口を開く。