ねえ、理解不能【完】
川瀬くんは宣言通り、私を家まで送ってくれた。
千草の家の前を通過するとき、見たくなかったのに玄関の方を確認してしまう自分がいた。
この前みたいに広野みゆちゃんと話す姿はなくて、だれもいなかった。
ほっしたのもつかの間のこと。
私が顔を千草の家に向けたことで気づいたんだろう。
「旭の家?」
川瀬くんの質問に、隠す理由もなかったから、小さく頷く。
「本当に近いね」
「......うん」
「旭、今彼女といんのかな」
「し、知らないし、興味ないよ」
「うん。俺も興味ない」
私は川瀬くんより興味ない自信は、ないかも。
言葉にする意味なんてないから、言わないし、すぐにそんなこと思うのもやめる。