ねえ、理解不能【完】
「.......学校一緒に行くの、いーよ」
千草の小さな声。
私は、反射的に身体を震わせてしまう。
相変わらず、こっちを見てはくれないけれど。
「い、いいの?」
おずおずとたずねる。
そうしたら、千草がやっとこっちを見た。
「青が言ったんだろ」
「そ、だけど。でも、」
ーー広野みゆちゃんはいいの?
「.......ううん、なんでもない」
聞いていいことなんてないと思って、誤魔化した。今は、どうだっていい。
「手、離して」
「わ、ごめん」
私は千草の学ランからそっと手を離す。
そうしたら、千草は歩き出した。
私も今度は一歩前に出て千草の隣に並ぶ。