ねえ、理解不能【完】
「.......どうせ、広野みゆちゃんのほうがわたしより百倍は可愛いし」
「………」
「……嘘でもいいからそんなことないよとか、慰めること言ってよね!」
千草の胸をむっとしながら小突く。
100人中100人が私より広野みゆちゃんの方が可愛いと答えることは明らかだけど、いいよ。
私は千草の慰めの一票で我慢するつもりだから。
冗談で言ったつもりなのに、
千草は笑っていなかった。
「……そんなことない」
「え?」
「だからそんなことないって言ってる」
笑っていない上に真顔で言うから吃驚してしまう。
.......まさか本当に思っているわけ?
私はどうしてか戸惑ってしまい、
千草から目を逸らした。
千草が立ち上がってテレビのほうにいく。
それから、DVDステッキからさっき見ていたものを取り出してケースにしまった。