ねえ、理解不能【完】
やっぱり、間違ってなかったんだ。
自意識過剰なんかじゃなかった、本当に川瀬くんは私のことが好きだった。
そうしっかりと自覚した途端、ぼっと顔に熱が集まる。
私は耐えきれなくなって川瀬くんから目線をそらした。
夏なのに秋の風が吹いてるみたい。
首のあたりをなでる風はひんやりしている。
自分が変な汗をかいているからだ。
生まれてはじめてもらった好きという言葉の受け止め方を私は知らなくて。
そもそも、誰かの恋愛対象に入ったことなんて、私が知ってる範囲では今まで一度もない。
心臓の音はもう煩いなんてものじゃなく、壊れちゃいそうだ。
キャパオーバー。慣れてないんだから仕方ないでしょ?!って誰かに怒りたくなるくらい、どうすればいいのか分からない。
「え、えっと、あ、その.......」
恐る恐るもう一度川瀬くんに視線を戻せば、しっかりと瞳は合わさって、もう逃げることもできなかった。
誰かに告白されるって、こんなに緊張するんだね。初めての経験だから、知らなかった。
……本当に、予想外。