ねえ、理解不能【完】





「じゃあ、俺、今日は帰る」

「お、送ってくれてありがとう.......!」

「うん。白崎も告白OKしてくれてありがとう」





さらり、と軽やかに川瀬くんの指の背が私の髪に触れて。
ドキリ、としてる間に彼は背を向けて行ってしまった。



私はその後ろ姿に、弱々しく手を振る。




触れるんだ、川瀬くん。
彼氏になったから。私が、彼の彼女になったから。



川瀬くんがなぞった髪の部分にそっと手をあてる。
千草とは違う触り方だった。





川瀬くんの背中が見えなくなっても、彼が帰っていった方向を見つめたまま、しばらく立ち尽くす。





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