ねえ、理解不能【完】
ダブルデート
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突如はじまった川瀬くんとのお付き合いに気まずい気持ちを抱えてしまったのは本当に最初だけで、付き合うことになった次の日から川瀬くんはいたって普通で相変わらず爽やかだった。
不慣れな私をリードしてくれる。ありがたいって言葉が正しいのかは分からないけれど、助かってるのは本当だ。
今までも川瀬君とはメッセージのやりとりをしていたけど、付き合ってからは夜に電話なんかもするようになった。
好きだよ、って伝えてくれる。髪を撫でられると恥ずかしくてどうすればいいか分からなくなる。笑ってくれると、嬉しいとごめんねをなぜか同時に伝えたくなる。
家族以外にはじめて、おやすみ、を伝える相手になった。千草にも、おやすみ、は言ったことなかったから。
だけど、まだ、「好き」の言葉は返せないでいる。
川瀬くんと付き合うことになった次の日に妃沙ちゃんに報告したら、よかったね、って妃沙ちゃんは少しだけ寂しそうに笑った。