ねえ、理解不能【完】






「……内容、全然分かんないんだけど」

「そーだね、私も分かんない」

「字幕なしって言ったの誰?」

「止めなかったの千草じゃん!さっきは字幕なしの気分だったけど、止めてくれればよかったのに!」

「……ワガママ女」





二人で千草のベッドに座って、始まったばかりのDVDを見ているけれど。

内容は分からないし、千草は私の発言にむっとしてる。



さっき戻ったはずのいつも通りの雰囲気のなか、何か違和感を感じてしまう。



ちらっと隣にいる千草を見る。



千草はDVDに集中しはじめたようで、いたって普通の千草だ。

学校にいる時よりもほんの少しだけ柔らかくなって無防備になる私といるときの千草。



違和感の原因は千草じゃなくて私にあるのかも。

.......よく分からないけれど。





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