ねえ、理解不能【完】
ベッドに横になったら、一気に眠たくなってしまった。
身体の向きをかえて足を伸ばして横になれるようにする。ちょうど千草が座っている後ろに頭がくる体勢。
千草の枕をぎゅっと抱きしめて、眠るための準備をはじめる。
「ね、千草」
あんまり働かない頭で、千草に呼びかける。
銃を乱射している音が聞こえるから、たぶん今映画は面白いシーンだ。
「ん、何」
千草はDVDに夢中でたぶんぼんやりとしか聞いていないんだろうけど、私も私で眠たくて思考回路がうまくまわらないし、ちょうどいいかもしれない。
「私、頑張って彼氏つくる」
「……うん」
「そしたら、ダブルデートしようね。千草は広野みゆちゃんで、私はイケメンで身長が高くてそれでね、ーー」
「うん」
私の言葉を途中で遮って相槌をうった千草は、こっちをみようともしない。
私は閉じそうな瞼を頑張ってすこしだけ開いて、千草を見てるっていうのに。
千草が自分の身体を後ろで支えるみたいについていた手に、寝ぼけてるからか何なのか自分でも理由は分からないけれど無性に触れたくなってしまって、ふざけ半分で人差し指に触れる。
それでも、千草はこっちを見なかった。
私が触れていることにも気づいていない風に、じっと映画を見ていた。
私は千草の指に触れることにもすぐに飽きて、
欠伸を一つする。