ねえ、理解不能【完】
千草の枕をぎゅうっと抱きしめて、身体を丸める。
安心するから、千草の匂いが好きだ。
寝ているときに私の唾液を受け止めるのはこの枕だよ、ざまあみろ千草。
映画に夢中になってる隙にこの枕が犠牲になるんだよ、ごめんね。
だんだんとふわふわした心地になってくる。
瞼は完全に閉じてしまった。
「千草ー私ちょっと寝るね」
「……布団かけて」
千草が布団をかけてこようとする気配を感じたから、私は首を横に振る。
梅雨だからジメジメしていて気持ち悪い。
千草は長いため息をついて、ベッドから降りた。ぎしっと音がして、シーツが少し上に浮く。
どこ行くの?絨毯の上に座ったのかな。別にベッドの上にいていいのに、なんで移動したんだろう。
よく分からない千草、今日は出没多めだ。