ねえ、理解不能【完】
ごろんと横向きになると、スカートが少し折り曲がった感じが肌に伝わる。学校から直接千草の部屋にきたから制服のままだ。
一応なんとなく千草に忠告しておこう、なんて思い目を閉じながら、千草、と名前を呼ぶ。
「寝相悪いからスカートめくれるかも。見ないでよ?」
「興味ない」
ほら、やっぱり。
それでこそ千草だ。
女としては少し惨めだけど、私たちは幼なじみだから。それくらいがちょうどいい。
小さい頃は一緒にお風呂だって入ったしプールにもよく行ったもん。さすがに今一緒にお風呂に入れって言われたら抵抗はあるけど。
相手が千草だったら別に入れなくもない。
「別に千草だから、パンツくらい見られても本当はいいけどね」
「……俺だもんな」
「うん。じゃあ、私ほんとに寝るね」
「…………」
「千草、おやすみぃ」
「うん」
「…………」
「......あーしんど」
「…………」
「ちょっと、もう無理かも」
何がしんどいのか、何が無理なのか、もう睡魔のせいでうまく考えることはできなかったけれど。
眠りに入る直前に聞いた千草のその声は、
なんだかとても切なくて苦しかった。