ねえ、理解不能【完】




「こうしないと、こうするべき、みたいなものより、自分がどうしたいかを青には大切にしてほしいよ」

「どうしたい、か」

「特に、恋なんて、どうしたいかだけでいいと思う。みんな、結局、自分が一番大切なんだから」




どうしたいか、それは、
好きになりたい、ってそういうのじゃだめ?

レモン汁をお鍋にいれて、かき混ぜる妃沙ちゃん。ぐるぐる、ってそれを見ていたら、私の頭の中もぐるぐるしてきてしまう。


しばらく何も言えなかった私に、妃沙ちゃんは、もう一度こっちを向いた。




「青は、川瀬くんにあげたい?」





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