ねえ、理解不能【完】
涙とずるい優しさ











千草への恋心を自覚した次の日の朝、洗面台の鏡に写った自分の顔は、かなり悲惨だった。


目は赤くて、二重幅は埋もれてしまっている。顔はぱんぱんに浮腫んでいて、いかにも、泣きました、って言っているような顔。昨日はずっと泣いていたから、そうなるのは当然だけど。


つめたい水で目を冷やしているのに、全然もとの顔にはならなくて、嫌になる。



「......学校、休もうかな」



だけど、休む理由が情けなくて悔しいし、お母さんにもうまく嘘を付ける自信もない。

昨日のことで、学校を休むなんて千草には絶対に思われたくない。私のことなんて、きっと、何にも気にしないだろうけど。


空っぽな心に手を当てる。この胸が今まで奏でた爽やかな人へのドキドキはつくりものだったのかと思うと苦しいし、彼に会って今まで通り笑える自信もなくて。


ますます学校には行きたくなくなってきた。


水をすくって、顔にかける。

それから、頰をたたいて、鏡の中の自分を見つめた。


だけど、しっかりしなくちゃ。




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