ねえ、理解不能【完】
ちょうど友達の家から帰ってきたときに、二人が抱き合ったりしているものだから、バッドタイミングとしか言いようがなかった。
気づかれたくなくて、こっそり家までたどりついたけれど、どうして私が気を遣わなくちゃいけないの、千草たちが慎むべきなのに、なんて急にむしゃくしゃした気持ちになって、玄関のドアを閉めるとき、わざと大きな音を立てたっけ。
それでも気持ちはおさまらなくて、その後冷凍庫にあったアイスバーを2本食べたら、案の定、次の日、腹痛に襲われて学校を休む羽目になったのは嫌な思い出だ。
それでもその日の放課後、千草が私の大好きなリンゴジュースを持ってお見舞いにきてくれて、熱で苦しかった私のそばにずっといてくれて。
あの時、すごく安心したの。
だから余計に、私以外の人の背中に手を回した千草のことがどうしても許せなかった。
千草、覚えてる?
その日、私がねごとのふりをして、「彼女と別れて」って言ったこと。「うん」っていう必要なんて本当は千草にはなかったはずだ。
なのに千草は、それからすぐに可愛い彼女と別れたの。私が、そのことに、嬉しさを感じてしまっていたこと、あまりに最低だから千草にも誰にも言ってない。