ねえ、理解不能【完】
今までのことを思い出しながら、ゆうのメッセージを開いたままにしていたら、もう一つ追加でメッセージが送られてきた。
【月曜日、空き教室でちゃんと直接謝らせてくれない?でも青、俺と二人とか怖いだろうし、誰か連れてくればいいよ。本当に今日はごめんな。怖い思いさせて本当にごめん】
画面を見つめたままぎゅっと唇をかんだのに、いつのまにか頰には生温かいものが伝う感触がして。
謝ってばかり。
それはそうだ。そのくらいのことをゆうはしたんだと思う。私はされたんだと思う。
だけど、その影で私が好きになれなくてゆうの心を傷つけてきたことを、ゆうはひとつも責めることなく終わるなんて、ずるい。
許してしまいそうだ。
画面にぽとりと私の涙が落ちる。汚くて、汚くて、それなのに透明なことがすごく滑稽だと思った。
偉そうに被害者面だけして、許せないとか許してしまいそうとか、私はゆうからのごめんねを受け取るばかりで、自分が抱いてきた最低な感情を隠したままでいようとしてる。
【うん、分かったよ。明日ね】
自分の涙で携帯の画面に触れる指先がつるりとすべる。
どうしようもない気持ちにぎゅっと心臓を鷲掴みにされたような心地になった。