ねえ、理解不能【完】





急いでもう一度通話のボタンを押して、千草にかけ直してみたけれど、つながる気配はなく。


千草はもう電話に出るつもりがなさそうだった。





「……っ、言い逃げっ、」




枕元に携帯を放って、寝転がる。
はぁーと長くため息をついて、目を閉じた。



結局、千草は心配してくれているんだ。
本当にずるい。望んでない。でもくれたら、嬉しくなってしまう。





千草には、広野みゆちゃんがいるのに。




幼なじみと呼ぶにはもう関係はボロボロで、だけど恋人でもなければ、友達でもない。






今の私は、



『おとなしく教室で待ってて』




千草の心のどの場所にいるのだろうか。







< 318 / 450 >

この作品をシェア

pagetop