ねえ、理解不能【完】
急いでもう一度通話のボタンを押して、千草にかけ直してみたけれど、つながる気配はなく。
千草はもう電話に出るつもりがなさそうだった。
「……っ、言い逃げっ、」
枕元に携帯を放って、寝転がる。
はぁーと長くため息をついて、目を閉じた。
結局、千草は心配してくれているんだ。
本当にずるい。望んでない。でもくれたら、嬉しくなってしまう。
千草には、広野みゆちゃんがいるのに。
幼なじみと呼ぶにはもう関係はボロボロで、だけど恋人でもなければ、友達でもない。
今の私は、
『おとなしく教室で待ってて』
千草の心のどの場所にいるのだろうか。