ねえ、理解不能【完】












月曜日、教室にはいってすぐに妃沙ちゃんの席に向かった。

すがりたいとか慰めてほしいとか、そういう弱々しくくて情けない感情ではなかったけれど、とにかく妃沙ちゃんに聞いてほしいことがたくさんあって。





「ーーおはよう、妃沙ちゃん」



読みかけの文庫本から目を離して私を見た妃沙ちゃんは、驚いたように目を丸めて、それから、おはよう、と戸惑った様子で返してくれる。



「妃紗ちゃんに聞いてほしいことがあるから、ちょっとトイレで話してもいい?」



教室で話すことではさすがにないし、妃沙ちゃん以外誰にも聞かれたくなくて。本を読みかけのまま中断させちゃうことになるけれど、妃沙ちゃんならそのくらいは許してくれるだろう。


案の定、妃紗ちゃんは、うん、と頷いて「聞くよ、」と優しく微笑んだ。



やっぱりいつもお姉ちゃんみたいな妃沙ちゃんだ。私みたいな面倒な妹なんていらないだろうけど、頼りにしてるの。




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