ねえ、理解不能【完】
教室に戻ると、時刻はホームルームがはじまる五分前で、ほとんどのクラスメイトがいた。
妃紗ちゃんの隣の席をちらりと確認する。今まで気軽に座っていたその席に、座ることはもうないだろう。
ゆうの席。
ゆうはクラスの男の子たちと自分の席で話している。爽やかな笑顔をみせていて、少しだけホッとしたけれど。
教室にはいってきた私の存在に気づいたのかゆうが何気なくこちらを見た。
その途端、笑みは消えて、伏せられた瞳。
……ホッとしていいわけなかった。
「青?」
妃沙ちゃんが心配そうに名前を呼んできたから、私は首を横に振ってごまかして、ゆうから目をそらした。