ねえ、理解不能【完】





今日は、一緒に帰らないのかな。


もしかしたら、これが終わったらどこかで待ち合わせて一緒に帰るのかもしれない。
でも、だとしたらこのことはなんて説明しているの?


それに。
千草が私のせいで広野みゆちゃんに最低なことを言って帰らせたあと、ちゃんと二人は仲直りしたのかな。



自分のことでいっぱいいっぱいだけど、千草と広野みゆちゃんの間にも問題があるってことは分かってる。

今日睨まれたのはその延長線上にあるから。






「(ねえ、)」



全く振り返らない少し前を行く背中に、こころの中で呼びかける。



「(広野みゆちゃんは、いいの?)」




千草は全然エスパーじゃないから、今の私の気持ちなんて何一つ分かっていないだろう。


誰が好きで、なんで、泣いてすがったのが千草だったのか。分からないくせに、今心配でついてきてくれている。その優しさに、私が何を思っているか。




相思相愛だと思っていたあの頃の私は本当にばかだったけれど、今、千草に何も伝わっていなくてよかった、って臆病な私は本当は安心しているの。







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