ねえ、理解不能【完】
「言っとくけど遭難したら、生き延びるのは私だからね!」
「…….....」
「千草なんて筋肉だけだからすぐに死んじゃうけど、私はたーくさんの脂肪のお陰で生き延びるんだから」
唇をぎゅっと結んで千草の背中を睨めば、ため息を吐く音が聞こえた。
大きなため息だ。幸せぜんぶ逃げても知らないから。なんて言いつつ、千草にばれないようにこっそり、ぱくっと食べておいた。
「......お前ぼんやり歩くなよ」
千草は顔だけを私の方に向けて、かなりむっとした表情をつくってる。
さっきからずっと変わらない 感じ悪い態度に、私だってそろそろむっとしてもいい頃だ。
たかが数分?数十分?遅れただけなのに。
それに、ぶつかったんだから鼻の先なでるとか大丈夫?って聞くとかしてくれてもいいはずだ。