ねえ、理解不能【完】
「謝らないで。青はひとつも悪くない。怖がらせて、本当にごめん。……この際だから言うけど、それまでだって、本当は青の気持ち無視し続けてたから。それも、すごい反省してる」
「……ううんっ、私も悪い。怖かったけど、今はもう、ちょっとは平気」
「ーーちゃんと直接謝れてよかった。俺のエゴだけど、今日、来てくれてありがとう、……白崎」
今、
ゆうが、完璧な線引きをした。
そのことに気づいて、顔を上げてゆうに目を向けたら、切なそうに歪んだ顔で頑張って口角をあげていた。
机ひとつぶんくらいの私たちの距離。
私とゆうの距離がこれ以上近づくことは、おそらく一生ないだろう。
これからは、ただ離れていくだけだ。
なるべく気まずくならないように、頑張って笑顔をつくって、だけど確かな線引きをして、川瀬くん、と名前を呼ぶ。
「……これからは、友達としてよろしくね」
社交辞令、みたいな言葉。綺麗に終わりたい、なんてそんな浅はかな思考回路を描いてそう言った私に、ゆうの笑顔はなくなって、目が伏せられた。
「…それは、無理だ。ごめん、友達には絶対に戻れない」
悲痛な表情と、苦しいはっきりとした宣言。
だけど、よく考えてみたらそれは当たり前のことだった。
社交辞令みたいな私の言葉の軽さは、結局、私のゆうに対する気持ちの軽さと等しくて。
それが結局、私たちの行きついた答えなんだ。
私が考えているより、きっと、ゆうの想いは強くて、ゆうが願っているより私の想いは遥かに軽くて浅かったの。