ねえ、理解不能【完】
「……ずるい」
そんなこと、自分が一番よく知ってる。
泣かせる勇気も、拒絶される覚悟も、もてなかった。だけど一番そばで、青が他の男と幸せになるのを見届けることなんて到底できないくらい、気持ちは大きくて。
だから、
自分から、手放したんだ。
手放すも何も、
元々、俺のものではなかったわけだけど。
限界だった。ずっと、苦しくて仕方なかった。隣で幼なじみとして笑っていてほしい、より、手に入れたいって気持ちが膨らんでいけばいくほど、苦しくなっていった。
小さい頃から隣にいて、いつだってあいつの気持ちなんて表情や仕草でほとんど分かることができたけれど、どうしたら手に入るかだけはずっと分からなかった。
それで、気づいたんだ。
いや、逃げた、という方が正しいのかもしれない。
どうしたら手に入るかわからないんじゃなくて。
たぶん、手に入らないんだ、って。不可能なことに方法なんてないように、手に入らないものは どうあがいたって手に入らない。
青はたぶん、俺のものには一生ならない。
限界に達していた俺は、そう納得したら、手放す覚悟がやっとできたんだ。