ねえ、理解不能【完】
ゆっくり歩きすぎたのか、いつもの倍くらいの時間がたって、やっとぼんやりと見えてきた家。
薄暗さのなかでも、ちゃんとたどりつく。本当に、恋も何もかもそうであってほしいよ。
ひとりだからどこまでもセンチメンタルになれるし、なんだかポエミーな気分になってくる。痛い、そんなの承知だ。でも、心臓もいたいし苦しいし、ちょうどいい。
この道が、
私のこれからも示してくれないかな。
たどりついた先に、答えがあったら、それを選び取る。報われなくても、それをちゃんとつかむよ。
なんて、ね。
バカみたいな思考回路に、ふ、とこんな時なのに小さく苦笑いしてしまった。
そのまま、何とは無しに俯いていた顔をあげる。