ねえ、理解不能【完】





目の奥がチカチカとはじける。

頭のなかは真っ白で、うまく立ってられなくなって、倒れこむようにトイレに座った。




カモ、フラージュ、

って、なんだったっけ?



分からない、そんなの、全然分からない。





ーー嘘、ちゃんと分かってる。



「えっ!じゃあ、別れちゃった彼女のみゆちゃんを忘れるためにその子といる、みたいな感じ?!」


「たぶん、そうだと思う。シラサキちゃんと一緒にいるとこ、みゆに見せつけてるんじゃない?もしくは嫉妬してもらいたいから、とか?」



チカチカ、する。



「ええ?!なんか、クールなのにそういう一面もあるとか、悔しいけど萌えるんですけど!ちょっとシラサキアオちゃんは可哀想だけど」

「あくまで予想だよ?本当かは分からないからね!でも、千草くんがさー、みゆを忘れるために、その代わりみたいな感じで、あの子といるんじゃないかなって思うんだよね」





違う。

これは、チカチカ、じゃない。




「えー、でもさぁ、ゆりね、昔からわりと旭くんのファンだったから知ってるんだけどね、シラサキアオちゃんって旭くんの幼なじみだった気がする」

「あ!それ私も知ってる。旭くんに、白崎さんと付き合ってるの?って聞いた子が、『違う、幼なじみ』って即答されたって昔言ってたよ」

「そうなの?!あ、でもだから、都合いいんじゃない?みゆのこと忘れるために簡単に利用できるじゃん。幼なじみって恋に発展しなさそうだし」

「えー、じゃあ、もうまとめたら、今の旭くんの行動もぜんぶみゆちゃんを想ってってこと?」

「そうなるよね。結局、みゆと千草くんは両思いってことだよ」






やだーゆりの出番ないじゃん、


最後にゆりちゃんのしょんぼりした声を最後に、彼女たちは出て行ったようだった。

騒がしさのあとの静けさに、悪夢からさめるかと思ったけれど、私はまだ悪夢の真ん中にいる。



< 387 / 450 >

この作品をシェア

pagetop