ねえ、理解不能【完】
目の奥がチカチカとはじける。
頭のなかは真っ白で、うまく立ってられなくなって、倒れこむようにトイレに座った。
カモ、フラージュ、
って、なんだったっけ?
分からない、そんなの、全然分からない。
ーー嘘、ちゃんと分かってる。
「えっ!じゃあ、別れちゃった彼女のみゆちゃんを忘れるためにその子といる、みたいな感じ?!」
「たぶん、そうだと思う。シラサキちゃんと一緒にいるとこ、みゆに見せつけてるんじゃない?もしくは嫉妬してもらいたいから、とか?」
チカチカ、する。
「ええ?!なんか、クールなのにそういう一面もあるとか、悔しいけど萌えるんですけど!ちょっとシラサキアオちゃんは可哀想だけど」
「あくまで予想だよ?本当かは分からないからね!でも、千草くんがさー、みゆを忘れるために、その代わりみたいな感じで、あの子といるんじゃないかなって思うんだよね」
違う。
これは、チカチカ、じゃない。
「えー、でもさぁ、ゆりね、昔からわりと旭くんのファンだったから知ってるんだけどね、シラサキアオちゃんって旭くんの幼なじみだった気がする」
「あ!それ私も知ってる。旭くんに、白崎さんと付き合ってるの?って聞いた子が、『違う、幼なじみ』って即答されたって昔言ってたよ」
「そうなの?!あ、でもだから、都合いいんじゃない?みゆのこと忘れるために簡単に利用できるじゃん。幼なじみって恋に発展しなさそうだし」
「えー、じゃあ、もうまとめたら、今の旭くんの行動もぜんぶみゆちゃんを想ってってこと?」
「そうなるよね。結局、みゆと千草くんは両思いってことだよ」
やだーゆりの出番ないじゃん、
最後にゆりちゃんのしょんぼりした声を最後に、彼女たちは出て行ったようだった。
騒がしさのあとの静けさに、悪夢からさめるかと思ったけれど、私はまだ悪夢の真ん中にいる。