ねえ、理解不能【完】
千草を、
信じていたから。
自惚れていた。私と同じ好きは返してくれなくても、大切にしてくれてるって。
私を利用するなんてそんなことは絶対にしないって、当然のように思ってた。
仲直りだって、純粋に私のことだけを考えて、したいって言ってくれたんだ、って。
だから、苦しくても嬉しかったし、ばかみたいに泣いてしまったのに。
ああ、でも、頷ける。
『幼なじみに戻るために、青と仲直りしたいわけじゃない』
仲直りしたとき、そういえば千草はそんなことを言っていた。
分かっててほしいことがあるって。
思えばあの時に千草は私にちゃんと忠告していたんだ。
今、その意味が、十分すぎるほどに、わかってしまった。
思いがけず、知ってしまった噂は、きっと事実だ。
「………やめる、」
もう、ぜんぶ、やめる。
トイレのなかで、そう宣言した途端、涙は力一杯閉じていた瞼を押しやって溢れてきた。