ねえ、理解不能【完】
それに、
____千草って青のことが好きなんじゃないの?
なんて。
そんなわけあるはずがないでしょう?
いや、あくまで彼女たちの意図する''好き''ではないということだけど。
好きにもいろいろな種類がある。
私の好きも千草の好きも、幼なじみとしての好きだ。大切に思う気持ちはしっかりとあるけれど、恋愛じゃない。
信頼できる、という意味であって、キスしたいとかそういうものにつながる好きじゃないこと、わたしは恋をしたことがないから分からないけど、間違ってないと思う。
幼なじみとしての''好き''で言うなら、私も千草も相思相愛なんじゃないかな。
「私たちって、幼なじみだよね」
確かめるように千草にそう言えば、千草は私から目をゆっくりと逸らして壁のほうを見た。
「うん」
声はどうしてか掠れていたけれど、
ちゃんと頷いてくれる。
世の恋人が互いに愛を確かめ合うのと同じように、私も千草と幼なじみであるという確認を時々して関係を保っている部分があるのかも。
他の人との間にはない、特別な深いつながりがあるように感じて嬉しくなりたくて。
あくまで、これは恋ではないわけだけど。
私はふふふ、と緩みきった頬を頑張って引き締めながら、そっと千草を小突いた。