ねえ、理解不能【完】
「……口の中切れたんだけど」
私が勢いよく突然唇を押し付けたものだから、歯にぶつかってしまったらしい。
ごめん、って言わずに、近すぎる距離にいる千草をそのまま見つめていたら、
千草はむっとした表情のまま、きれいな二重のつり目を細めて手を私の後頭部にまわした。
私がした下手くそなキスじゃなくて、丁寧に唇を合わせ直して、優しく啄ばまれる。
ちゅ、と時折リップ音がもれて恥ずかしくなって、かぷ、って弱い力で千草の唇に歯を立てたら、千草は驚いたように目を大きくさせた。
「……ざまあみろっ、」