ねえ、理解不能【完】
今までの苦しかった気持ちも大事にする。
千草の過去も、精一杯大事にしたい。
それで一番、“これから”を大切にするの。
すれ違っていた頃、自分の思考回路も千草の気持ちも、ほとんどが理解不能だった。だけど、それも恋のひと部分なんだって今はもう知ってる。
幼なじみじゃない千草を、
これからたくさん知っていきたい。
唇から溢れてくる千草の気持ちを、私は受けとめる。きっと、私も止められないくらい溢れている。
それをきっと、千草はぜんぶ受け止めてくれるだろう。
そうやって、与えたり、受け取ったりしながら、ずっと隣にいられたら、もう何も望むことなんてないよ。
「…っはあ、ギブッ!くるし、い!」
息継ぎを与えてくれない千草のキスに苦しくなって、胸をおしたら、千草はゆっくりと私の唇を離して、意地悪な表情ですこしだけ笑った。
ぬれた唇にドギマギしながら、目をそらしたら、そらすな、って言わんばかりに頰を片手でつかまれる。