ねえ、理解不能【完】
放課後。
旭くんだ、とどこからか聞こえたはしゃぐような女の子の声に、顔を上げると千草が私の方まで歩いてきていて。
昨日のことがあったからといって、別に相変わらずの無表情。
だけど、不機嫌ではない。
わたしはむず痒い気持ちになりながら、
千草に笑いかける。
「帰ろ、青」
机をはさんで、私を見下ろす千草の声は優しくて。
得意の不機嫌をどこかに置いてきた千草は、いつもと変わらない無表情に、ちょっとだけ柔らかさを隠していた。
私はこくんと頷く。