ねえ、理解不能【完】



「・・・迎えにきてくれてありがと」

「・・・なに、ありがと、とか変」

「言う時は言うし!本当は前だって思ってたし!」

「嘘。昔は、遅いよーとか文句言ってた」



そうやって、細められた目もどこか不服そうなのに柔らかくて。


やっぱりもう今までとは違うんだって、思いながら、うるさい、って可愛くない返事をした。



そうしたら、待っててくれてありがと、って千草だって小さな声で変なこと言ってきた。




幼なじみ、じゃない。

もう違うんだよね。



隣にいる。

その事実は昨日までと変わらない。
だけど、違う。




それだったら、やっぱり、関係になにか新しい“名前”がほしい。




欲張りだから、わがままだから、

千草のことが好きだから、

私はそう思ってしまう。





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