ねえ、理解不能【完】
「とぼけないで。それ頼むためにわざわざ俺の部屋きたの?って聞いてんの」
「ち、違うよ?違う!」
「嘘つくとこじゃねーだろ、今」
頭は真っ白になりかけで、わたしは落ち着くために瞬きを繰り返す。
こんなに、責めるような口調は初めて聞いた。いつも無口なのに。ほんとうに、初めて。
何も言えない私から千草は目を逸らして、
もう一度口を開いた。
「ーー帰って」
カエッテ、
頭が、真っ白になる。
千草の声が頭の中でリピートされる。目がちかちかして、上手く千草のこと見れないよ。
拒絶?
.......どうして?
ついこの間まで、ここで一緒に仲良くDVDを見ていたのに。