ねえ、理解不能【完】
「………っ、」
なんか、今、すごく、泣きそう。
「俺、青がすすめた広野と付き合う」
「.......へー」
なんだ、だからか。
一気に謎が解けて、安心するどころか、もっと苦しくなる。
意味不明で最低な千草の今日の態度にぜんぶ理由がついていく。
いつもは絶対私を迎えにきてくれるのに今日迎えに来てくれなかったのは、広野みゆちゃんと教室で話が盛り上がっていたからで。
そのあとも不機嫌だったのは、話していたのに私に邪魔されたからで。
朝だって広野みゆちゃんのことばっかり考えていたのかな。
……なーんだ。
「だから青、もう部屋こないで」
「……へ?」
完全に混乱している頭じゃ、その言葉を瞬時に理解することなんてできなくて。
だって、今まで彼女がいたってそんなこと一度も千草は言ってこなかった。
部屋こないで、とか嘘だよね。こんなときに冗談言うなんて最低にも程がある。
千草、嘘って知ってるよ。
馬鹿なこと、言わないで。
.......そう誤魔化せたらいいけれど、今日の千草は冗談なんて絶対言わない。それくらいは何年も一緒にいたから分かる。
千草のことで知りたくないこともあるんだって、今はじめて思ったよ。