ねえ、理解不能【完】
醜い。
なんて醜いの、私。
これは、千草も広野みゆちゃんの方がいいはずだね。
ぎゅっと結んでいた唇をほどいて、目元をこする。
もう計算する気なんてひとつも起きなくて、逆に本当の自分を隠して平然さを装うことにした。
「……私、帰る。それで、満足でしょ?」
ベッドから立ち上がり、千草の方を一切見ずに部屋から出た。
本当の気持ち。
いつもなら全部千草にぶつけるものを、押し込めて、心の中でそっと吐き出す。
甘やかしてくれない千草は、嫌い。
私が一番じゃない千草は、大嫌い。
ーー私の傍にいないなんて、ゆるさない。