ねえ、理解不能【完】
バタン、と千草の家のドアを閉める。
唇をかみしめて、泣かないようにこらえる。
もう泣いてもいいのに。
どうして千草のいないところで我慢なんかしてるんだろう。
千草は追いかけてもこなかった。
今頃、広野みゆちゃんのことでも考えいるのかな。
.......そんなのってあんまりだ。
今まで、彼女がいても絶対に私が一番だったのに。
どうして、今回だけこんなことになったのか分からない。
.......便箋なんて渡さなければよかった。
そうすれば、こんなことにはならなかったかもしれないのに。
幼なじみをとられることが、こんなに悲しくて苦しいことだなんて知らなかった。