ねえ、理解不能【完】
千草と遭遇しないように、辺りを見渡してから慎重に家を出る。
お母さんは、喧嘩したの? なんて無神経な質問をしてきたから、絶交した!と大袈裟に答えておいた。そうしたら、笑われた。全然面白くないのに。
千草の家の前を、走って通り過ぎる。
それだけで心臓がドキドキと音を立てる。
まだ、千草は家にいるのかな。
もう先に出たのかな。
.......今もまだ、私に怒ってるのかな。
巡る思考はネガティブなものばかり。
朝から、本当に憂鬱だ。
それに。
一人の通学路はすごくつまらないの。
いつも千草と一緒に歩いていた道も、なんだか色褪せてみえて、相槌を打ってくれる千草の存在って結構大きかったんだな、って実感する。
モヤモヤは、増加するばかりだ。