彼女は実は男で溺愛で

 楽しく会話を楽しみながら、チーズフォンデュにパスタを堪能する。
 悠里さんお勧めのお店だけあって、どれもおいしい。

「春キャベツのパスタ、おいしいです」

「そう。よかったわ。もっと食べる? よそうわよ」

「い、いえ。これ以上食べたら太りそう」

「スタイル良くなったんだから、平気よ」

 視線が体のラインをなぞり、なんとなく恥ずかしくて両手で隠す。

「やっぱり、前と同じは無理、かな」

「え? なんですか?」

「ううん。独り言」

 小さく呟いた悠里さんの声は、聞き取れなかった。

「次はメイクかな。あ、今からやってあげる。持っているから」

 鞄から出した化粧品の数を見て、度肝を抜かれた。
 女として完敗してます。はい。

 私の方へ向かい合うように座り直した悠里さんに、私も向かい合って座る。
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