彼女は実は男で溺愛で

 綺麗な女性らしい手が、私の頬に触れる。

「肌、綺麗ね」

「そう、ですか? 悠里さんこそ、いつも肌が美しくて。盗み見てはうっとりしていました」

「そうなの? 知らなかった。なんだか恥ずかしいわ」

 和やかな雰囲気で、化粧を施される。

「史ちゃんは可愛らしい顔立ちだから、大人っぽく見せたいのよね?」

「はい!」

 前のめりに返事をすると、苦笑された。

「可愛い史ちゃんだって、いいと思うのに」

 そう言いながらも「大人っぽく見せたいのなら、チークはこの辺りに」とレクチャーしてくれる。

 眉の形も整え、普段はあまりしないアイメイクもすると「はい。完成よ」と、両肩にポンと手を置かれた。

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