彼女は実は男で溺愛で
目を開けると、鏡に映る自分と目が合う。
「わあ」
感嘆の声を漏らすと、悠里さんは謙遜する。
「プロではないから、機会があればプロにもメイクしてもらいましょうね」
「いえ。すごいです。自分じゃないみたい」
「史ちゃん、素材はいいんだから。胸を張りなさい」
美人の悠里さんに褒められ、恐縮する。
「それは、悠里さんに当てはまる言葉ですよ。男性側であろうと、女性側であろうと、美しいというか、品があって」
「褒め過ぎ」
本気で受け取ってくれない悠里さんに、私はムキになって言う。
「本当ですよ! 性別なんて関係ない。悠里さんはそのままで素敵です」
「そう。ありがとう」
目を細め、心から嬉しそうに言う悠里さんに、こちらの胸が熱くなった。