彼女は実は男で溺愛で

 私は悠里さんに、もらってばかりだ。

「私も、なにか。悠里さんに」

「いいの。もうもらってる」

「なにを」

「私の秘密を知っても、変わらずにいてくれる態度とか」

「そんな、こと」

 いつもいつも、元気も勇気も楽しさもなにもかも。
 心が折れそうになった時も、会社に来る原動力にもなった。

 私の方こそ、物以上のモノをもらっている。

「そんなことだなんて、言わないで。私にはとても大きいの」

 穏やかでいつもの悠里さんなのに、どうしてか寂しく感じて、彼女に寄りかかった。

「どうしたの」

 エレガントな匂いが鼻をくすぐり、穏やかで優しい声が私に降り注ぐ。

「少しだけ、こうしていていいですか」

「少し、だけよ」

 体を寄せ、目を閉じる。
 体の片側に、彼女の温もりを感じた。
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