彼女は実は男で溺愛で

 眠ってしまったのか、肌寒さを感じ目を覚ます。

 会議机に肘をつき、頭を支えるように頬杖というか頭をその手に乗せ、悠里さんも眠っていた。

「どうして、「大丈夫? 私が傍にいて」だなんて」

 眠ってしまう前の彼女の言葉に、疑問が口をついて出る。

「俺も、一応は男だろ」

 低い声がして、ドキリとする。
 薄目を開けた悠里さんというか、染谷さんといえばいいのか、彼女と目が合った。

「起きて、いたんですか」

「うん。ついさっき」

 伸びをした彼女は、どこからどう見ても女性で。

「だって、悠里さんは、その、悠里さんだから」

「そう」

 視線を机に向ける悠里さんに、私は質問をする。

「悠里さんは平気なんですか? あんな男女の、その」

「思い出さない方がいい」

 思考を制止させられ、不満が漏れる。
 手は震えているくせに、少しでも強がりたかった。

「だって私だけ、こんなに動揺していて」

「だから、俺、男だよ?」

「え」
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