彼女は実は男で溺愛で

 ビルを出て、同じ方向に歩く。

「今日はさすがに送るよ」

 駅に向かい、駅で頭を下げる。

「ここまでで平気です」

「いいから送らせて」

 押し切られ、悠里さんと電車に揺られる。
 彼女と同じ電車に乗っている状況が、夢見心地に思える。

 アパートの前まで歩き、改めて頭を下げる。

「ありがとうございました」

「うん。よく寝て、明日には元気な顔を見せて」

「はい。おやすみなさい」

 私の言葉を聞き、目を細めた悠里さんが「おやすみ」と優しく言った。
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