彼女は実は男で溺愛で

 ボタンを留め、不意に視線は胸元に。
 ある一点を見つめ、かあっと顔が熱くなった。

 彼がお風呂から出てくると、私は半分眠っていて、寝ぼけ眼だった。

「同じ匂いをさせているはずなのに、史ちゃんは甘い匂いがするね」

 湯上りの彼は色っぽく、寝ぼけていたはずが、ドキドキと鼓動が速まり完全に目が覚めてしまった。

 それでも、恥ずかしくて寝ぼけたフリをしていると、彼は囁くように言った。

「虫除けに、俺のだって印をつけていい?」

 印って、なんだろう。
 理解できずにいると、彼は私に近づいて胸元に顔を埋めた。

< 201 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop